幕臣の小杉直吉・雅之進兄弟の生き方

今月8月は、21日が小杉雅之進、24日が小杉直吉の祥月命日。

小杉家は、南北朝時代の越中守護、桃井播磨守直常を始祖とする。
 絵には「ももい なをつね」とあるが、正しくは「もものい ただつね」
01.jpg
直常の6代あとの桃井三郎四郎直宣の嫡子に、桃井尚芳(なおよし)が生まれる。
小杉村に潜居していた尚芳は、元和3年(1617)に加賀能登越中3国を領する加賀藩第2代藩主前田利常に出仕し、小杉伊右衛門尚芳と名を変える。これが小杉家の初代である。
初代小杉尚芳は、寛永16年(1639)に前田利常が隠居するとき、越中国富山城主として分知になった次男前田利次に随従し、富山藩士となる。
尚芳のあと小杉家は代々富山藩の藩士だったが、小杉直吉の祖父になる5代目小杉吉診(よしみ)のときに江戸に移住している。
吉診の父母が裕福なため、吉診を江戸に遊学転住させたと伝わる。
そして6代目直方(なおみち)のときに幕臣となる。
7代目は、直方の長男が早世したため、次男の直吉が跡目を継いだ。10.JPG
直吉は俗名として右藤(うとう)を名乗っているが、祖父吉診の俗名も右藤治(うとうじ)という。
直吉が名乗った「うとう」は、「右藤」のほかに同じオンの「善知鳥」が伝わっている。
直吉は、能楽の宝生流の名手であるが、祖父の吉診も名前からすると同じだった違いない。
宝生流は江戸時代には徳川綱吉の時代に隆盛を誇り今に続く。同じころ、故郷の越中加賀の地でも金春流に代わって宝生流が盛んとなっている。このことが小杉家に何らかの影響があったかもしれない。
「善知鳥(うとう)」と名乗った理由は伝わっていないが、
おそらく、祖父の俗名をオンだけ借り、出身地の富山に縁にある謡曲「善知鳥」からとったのではないかと推察している。
桃井直常の孫に、幸若舞曲の創始者の桃井直詮(幸若大夫)がでているが、先祖と同じく、直吉は謡や能に秀でていた。
 桃井直詮(幸若大夫)05.jpg
幕臣としては長崎奉行支配調役並出役から始まり、最後は日光奉行支配調役を勤め、維新後は徳川慶喜に従い駿河へ移住するが、のちに新政府に出仕し、大審院判事、名古屋控訴院長を務めた。
晩年は静岡に戻り、徳川慶喜の能・謡のお相手などをして余生を過ごしている。
 趣味人の徳川慶喜13.jpg
この頃、直吉の三女杪(すえ)は久能山東照宮宮司の松平健雄(松平容保の次男)に嫁ぐ。
 松平健雄夫妻15.JPG
その入嫁のきっかけは、はっきりとは分からないが、
①松平健雄が、宮司に就任の挨拶以外にも時々、慶喜に伺候していたこと、
②直吉が、能・謡の師匠として慶喜の側近くにいたこと
などで、慶喜の薦めがあったのではないかと容易に想像できる。
また不思議なことに、
直吉の弟・小杉雅之進は、鳥羽伏見の敗戦の折、慶喜や松平容保を江戸まで移送した開陽丸の蒸気役一等(機関長)でもあり、慶喜、容保、直吉、雅之進はお互い知り合いであったが、その縁も後押ししたのかもしれない。
小杉直吉は、明治36年に68歳で没し、静岡の蓮永寺に葬られている。20.jpg写真は、2013年第21回東軍慰霊祭が行われた静岡市の蓮永寺の小杉直吉のお墓に集まった直吉の兄弟姉妹の末裔たち。左から、姉・鋹(とし)、直吉(なおよし)、弟・雅之進の各々の末裔。
〇姉・鋹は幕臣河島由路に嫁ぐ。由路は16歳の息子由之と親子で彰義隊に参加し、上野黒門詰にて被弾しその晩に死去している。


小杉雅之進は、
長崎海軍伝習所の三期生としてとくに当時最先端技術である蒸気機関を学び、日米通商修好条約の批准使節護衛の名目の咸臨丸にて米国に渡る。30.JPG
帰国後は海軍操練所の教授方を務めるが、開陽丸がオランダから日本の回送されると、開陽丸に乗り込む。
慶応4年1月鳥羽伏見の敗戦後は、蒸気役一等(機関長)として徳川慶喜や松平容保など旧幕閣を大坂から江戸に移送する。
のち、榎本武揚に従い旧幕府の旗艦開陽丸にて8月品川を脱走、蝦夷地を目指す。
翌明治2年5月に箱館戦争に敗れて降伏する。弘前に幽閉され、その間に箱館戦争の戦記として名高い『麦叢録』を著す。
明治7年に榎本武揚のたっての願いに応え新政府に仕官するも専門の海軍畑を嫌い、内務省駅逓寮に出仕し海事分野で活躍する。
明治42年(1909)、67歳で死去し、谷中の大雄寺に葬られている。
今年は没後110年になる。
昨年は、米熊慎蔵龍馬会による箱館戦争の史跡めぐりがあり、久しぶりに『麦叢録』を読み返してみた。
なかなかよく書けているのを再確認したのだった。IMG_9660.JPGIMG_9661.JPGIMG_9665.JPGIMG_9668.JPG

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