梅原猛氏と 原三溪

梅原猛さんがお亡くなりになった。

小杉家の遠縁にあたる原三溪とは、若干関りがある。
小杉家と原三渓との縁は以下の通り。
小杉直吉は、慶応4年4月の江戸開城後、5月に徳川家の駿河国への移封に従い沼津に移り住む。のちに新政府に仕官し大審院判事、名古屋控訴院長を歴任してから晩年再び駿河に戻り、慶喜の能・謡の師匠としてのお相手も務めながら余生を送る。この頃、直吉の三女杪(すえ)は慶喜の薦めで久能山東照宮宮司の松平健雄(松平容保の次男)に嫁ぐ。この健雄夫妻の次女・会津子は、原三渓のあとを継いだ三男・良三郎に入嫁している。
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横浜の実業家の原三溪は、日本美術に造詣が深く、岡倉天心や横山大観などのパトロンであったが、その原三溪の大番頭に古郷時待と云う人がいた。
古郷時待は、退職後の自分の隠居地として京都を選ぶ。
大正7年頃に、哲学の道の南端にある、廃仏毀釈によって荒廃していた若王子神社の庭園を借受ける。そしてそこに伏見にあったといわれる武家屋敷を移築し、それをベースに蒐集した複数の建築の部材を合わせて数寄屋風の家を時間をかけて建てる。
庭には、あちこちから古い十三重の塔や燈籠などを集めている。規模は三溪園の1/100にも満たないが、景勝の地を選んで由緒ある建物を移築するという三溪園建造の理念に従っている。

ただ、古郷はここに住むこと数年で亡くなり、そのあとは京都大学哲学科の助教授として赴任した和辻哲郎が大正15年(1926)から昭和9年(1934)まで約10年間暮らした。和辻が東京大学に転任後は、岸田劉生の数少ない弟子の奇人画家・岡崎桃乞(1902~1972)が住んでいた。

梅原猛の妻は桃乞の遠縁にあたるが、桃乞の死後、しばらく空家になっていたその家を、桃乞の姉の勧めもあって、梅原猛が購入する。
それは旧家に育ち、こういう古い家に住みたいという梅原の妻のたっての願いから買い求めたものだった。

密語庵と呼ばれるこの家の柱は法隆寺の部材ともいわれるが、梅原猛が、『隠された十字架法隆寺論』(新潮社、1972年)を書いたのは、それが切っ掛けなのかどうかは、まだ調べていない。

追記:2019/03/23
日影氏の日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun) を拝見しました。
https://hikagesun.exblog.jp/30059044/
法隆寺の部材について、建築雑誌・住宅建築に掲載の横内敏人氏の文章「若王子の家」を引用されています。
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最大の課題は、法隆寺の柱をどうするかであった。
この柱は法隆寺の昭和の大修理の際に市場に出されたもので、大工の中村外二氏が長年所有していた。
縁あって氏に今回の改築の施工をお願いに行ったところ、独自の法隆寺論を著作に持つこの施主の家なら是非使ってくれと頼まれてきたものである。
直径8寸、800年ほどの前の鎌倉期の材だと言う。
表面は黒々と風化し、威風堂々とした存在感をもつこの柱を、家の中で最も煩雑なダイニングキッチンという場でいかに用いるか、それが課題であった。
初めは床柱のように鑑賞の対象として用いることも考えたが、結局、いくら文化財的価値があっても、柱は柱として屋根を支えるというその本来の役割を持たせてあげる方が、柱にとってはより幸せであろうという結論に達し、最終的には既存屋根の桁の出隅を支える、この家で最も重要な柱として用いることになった。
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『隠された十字架法隆寺論』(新潮社、1972年)が先で、法隆寺の部材を密語庵に使用したのは後とわかります。


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この記事へのコメント

omachi
2019年03月18日 21:26
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。

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