青天を衝け

今回の大河ドラマ「青天を衝け」は史実に結構忠実ではないかと思う。IMG_3480.JPG

何しろ今までとちょっと違うのは、
時代考証は、井上潤(渋沢資料館館長)、斎藤洋一(戸定歴史館館長)、門松秀樹(慶応大学准教授)。
国旗考証は、国旗研究の第一人者と言われる吹浦忠正。
資料提供は、永井博(茨木歴史館特別研究員)、大庭裕介(慶応義塾福澤研究センター)
なかなかの重厚な布陣だ。
これから物語がどのように描かれていくのが楽しみになってきた。

2/21に第2回目を拝見した。
支配する武士と農民との関係が描かれ、渋沢栄一の精神になにがしか影響を与える予感を感じさせる放映だった。

だいぶ先になるが、尊攘派志士の栄一は八・十八の政変直後に従兄の喜作と共に上京する。
このとき、攘夷派が衰退した京都での志士活動に行き詰まり、江戸遊学の頃に親しくなった一橋家家臣・平岡円四郎の推挙により一橋慶喜に仕えることになる。

当時、慶喜は朝議参与として京都に常駐していた。しばらくして慶喜は朝廷から禁裏守衛総督を拝命するが、御三卿は自前の兵力を持っていない為、兵力調達が急務となり、栄一は一橋家領内を巡回し農兵の募集で手腕を発揮する。

渋沢栄一が巡回した一橋家の所領はどのようなものだったのだろうか?

一橋家の所領は、摂津1万5千石、和泉1万9千石、播磨2万2千石、備中3万3千石、下総4千石、下野6千石、越後7千石と、各地に分散していた。表高ではないため、合計12万石になる。
畿内と近国・播磨とで、総高の46%を占め、備中を入れると74%もの所領が西国に集中している。
畿内・近国は、摂津・和泉・播磨三か国に分散はしているが、総計高は5万6千石にもなり、大坂城防衛という重要な軍事的役割を担っていた摂津尼崎藩や和泉岸和田藩を凌いでいた。
但しこれら所領は賄料と呼ばれ、諸藩のような軍事力を持たなかったという点で、大名・旗本などとは大きく異なっている。

上級役人は幕府からの付人が占め、摂津・和泉・播磨の所領支配は大坂川口に設けられた代官所が支配した。代官所の役人は10人足らずで、5万6千石もの所領を支配するには脆弱な体制だった。
にもかかわらず、年貢徴収など所領支配が円滑に進められたのは、組合村ー惣代庄屋制という中間支配機構がしっかり機能していたことによる。

例えば、現在の宝塚が属している摂津国には、川辺郡(西組2,625石、川辺組3,179石)、豊島郡(萱野組2,518石、中組2,598石)、嶋下郡(嶋下組3,825石)の5組に分かれ、組合村があった。
この5組にはそれぞれ組ごとに、組の属する村々がその石高に比例して負担する入用に仕組みがあり、この仕組みが摂津以外の一橋家の各所領にも備わっていた。
各組の代表を惣代庄屋といい、2名が勤めた。摂津国の共通する案件について役所に願う場合は、この惣代庄屋のなかから2~3名が摂津国の代表を勤める。これを郡中惣代とよんだ。郡中で発生する費用は、石高に応じ村が負担する。
摂津・和泉・播磨三か国に関するもので費用が発生する場合は、三か国の代表である割方惣代が集まり、帳簿を確認して、各国、各組の負担額が決定された。

また、用達という機能がある。川口役所の近辺に居を構え、役所からの触を通達したり、所領村々が役所に提出する文書の作成、役人など様々なルートを通じて入手した情報の提供、また村役人が役所に出向いた時の宿泊場所を提供した。大坂町人がその役目を行うが、費用は計上される。
組割、郡中割、三か国割という重層的な入用を可能にした組合村ー惣代庄屋制が、実質的に一橋家の所領支配を支えていた。

在京中の慶喜のために、畿内・近国の所領村は、様々な物的・人的負担を課されていく。所領村は、組合村ー惣代庄屋制を軸にこれに応えていく。
渋沢栄一が巡回した所領村は、
慶喜のため、生活必需品の献上(実態は強制的に在京中の必要物資を調達したと考えてよいのだろう)、硝石の供給、慶喜が好んで食した麦の供給、御用金の出金、御用人足と歩兵の拠出などなどがある。
ドラマでは、栄一自身が少年時代に、御用人足と御用金で苦しむ農村の場面をみているが、さて、在京の慶喜の時代、栄一が巡回する場面で、当時の一橋家の所領の実態はどのように描かれるだろうか?

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