三吉慎蔵の妻・伊予

今日は、長府藩士・三吉慎蔵の妻、伊予の月命日
伊予は長府藩士正村喜三郎の三女で、慎蔵が安政4年(1857)3月に三吉家の養嗣子になった翌年1月に17歳で入嫁し、明治44年(1911)1月に没している。享年71才。
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伊予が龍馬を見知ったのはいつだろうか。
慶応2年正月に慎蔵と龍馬が初めて会ったときとの説もあるが、恐らく慶応3年2月に龍馬が長崎からお龍を伴って下関に居を移してからと思われる。
長男米熊の話として以下が伝わっている。
「坂本さんがよく裏から忍んで来て蔵の中で父と二人きりで終日語り明かした事があったが其の蔵には何人も寄せ付けなかった。したがって父と坂本さんとの間にどんな話があったか誰も知る者がなかった。しかし母だけは時々一升徳利を携えて蔵の中に入る姿を見かけたものだ」
この話は、慶応2年正月のときというよりも慶応3年2月以降の場面とみる方が正しいのだろう。

伊予がお龍を知ったのはいつかは分かっている。
慶応2年3月7日の晩。慎蔵は寺田屋遭難のあと、3月7日に長府に帰宅するが、寡黙な慎蔵もさすがにその夜、家族に騒動の顛末を話したと伝わっている。

では実際にお龍と顔を合わせたのはいつだろうか?
慎蔵は龍馬が暗殺されたあと一か月後の慶応3年(1867)12月15日に、龍馬の遺言に従って、長府の慎蔵宅にお龍27歳と妹の君江16歳を預かっている。このときの慎蔵の家族構成は、慎蔵、伊予、長男米熊、次女トモ、義母であるが、伊予はお龍と同じ27才であった。
お龍はこの10か月ほど前に龍馬と共に長崎から下関に来ているのだが、12月15日以前に龍馬と一緒に慎蔵宅を訪れたとの記録はない。寺田屋遭難の前後、寺田屋での宿泊、薩摩藩伏見屋敷・二本松屋敷での滞在など合計で47日ほど慎蔵とお龍は交流があるはずなので、慎蔵宅に懐かしく会いに来ていてもよいのだが・・・
ちなみに、慎蔵宅にいるときに、お龍は米熊7歳とトモ2歳の子守をしたとの伝聞が子孫に伝わっている。

伊予は維新のあとは、東京で暮らしている。
明治4年7月に廃藩置県が断行され、長府毛利元敏公は藩知事を免ぜられ華族として東京詰を命じられる。このとき慎蔵は元敏公の上京に際し家扶として随従する。その後、元敏公は岩倉使節団と共に3年間洋行することが決まり、慎蔵に留守の間の邸家禄の管理を依頼する。家族を長府から引越しさせ、帰朝まで邸内に滞在することがその内容。
従って、明治5年3月に、慎蔵は長府から一家を纏めて邸内に引越し、伊予は元敏公の奥方のお世話をすることになった。
その後は、明治23年(1890)慎蔵が宮内省を退官し7月に長府を戻るまで、18年間を東京で過ごしている。
この間、毎日付けている慎蔵日記を見ると、忙しい慎蔵と夫婦で旅行したのは、退官前年の1週間の熱海温泉旅行だけであったらしい。

なお、お龍は慎蔵や伊予が東京にいる間、近くにいたのに頼ってくることがなかった。
また明治25年の米熊の婚礼に際して、菅野覚兵衛夫妻(妻はお龍の妹君江)は招かれているのだが、お龍は出席していない。その理由は分かっていない。

掲載の写真については説明がいる。
慎蔵は維新後に東京で長府毛利家に家扶として、明治10年以後は宮内省に出仕し北白川宮家に御付・家令とし勤める。その際に、公務・私用など様々な件で助けとなった親類の一つに、伊予の姉が嫁いだ栢家がある。伊予の姉は栢老人、その兄弟は栢貞香、栢俊雄として慎蔵日記にはしばしば登場する。
写真は、伊予の姉の80歳・傘寿祝いに集まった時の記念写真の一部を拡大したもので、真ん中が伊予、その右側が伊予の姉であるが、後ろの男性は栢貞香か栢俊雄のいずれかとみられる。

慎蔵は明治34年71才で亡くなっており、娘のトモが慎蔵より早く明治32年に病死しているので、トモの一人娘・慎蔵の孫梅子は、明治34年から10年間、祖母伊予に長府で養われていた。この集合写真には梅子も写っている(掲載写真には入っていない)が、年齢が12歳前後であるので、明治40年前後に長府江下にあった栢家の庭で撮影したものと考えられる。

伊予が長府で明治44年1月14日に亡くなったとき、長男米熊は信州上田で小縣蚕業学校長の職にあった。訃報を聞いて翌日長府へ急ぎ上野駅で下車したときに妻の急病を伝言される。電話をかけて妻が病死したのを知って米熊は上田に引き返す。米熊からすると二日の間に母と妻を失ったことになる。
従って長府の伊予の葬儀は、伊予の実家の正村家、親類の栢家、慎蔵の実家の小坂家など親類の手によって行われたと思われる。
ちなみに、伊予と一緒に暮らしていた孫の梅子は、慎蔵・米熊と親交のあった乃木希典に引き取られている。


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